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五條ネタonlyの戯言しかありません(多分)
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職場の生協でレジに持っていく前にぱらぱらと捲ったら、なんかエピローグとか書かれてやんの。
え、今回で終わりなんだと、その時ようやく気づきましたよ。
そろそろ終わるだろうとは思っていたけど、もう2,3回くらいかなって思っていたからさ。
で、来月からは『パーフェクトクォーツ』が連載されるとの予告が……鉱物なので感想は書かないけど、書店で立ち読みくらいはするかなぁ、みたいな。


そんなこんなで、今月号は相変わらずそこそこ死人が出ましたよ。
でも死ななかった人のうちのひとりの櫂は、大川を狙って奔走中。
櫂はこれまでに、憎くて相手を殺したことがなくて、釜崎のことも多少は憎かったけど、それ以上に感謝もしていたんだって。ただいろいろなことにけじめをつけるためには殺さなければならない、そう思ったから殺したそうな。
でも大川は違って、心から憎いから殺すと決めたそうな。で、そう考えた時に心に浮かんだのは、誰かのためではなく自分のために人を殺したとき、いままでと同じように美しい赤い季節が目の前に広がるかどうか不安らしいです。赤い季節があれほどまでに櫂の心をとらえたのは、無垢な殺人の代償だからなんだそうな。因果関係がないから、流される血に汚れがないのに、それを承知の上で大川を殺せば赤い季節を失うかもしれないと考えます。
が、それでも大川だけは殺さなければならないと決意して、突き止めた大川の居場所に櫂は向かいます。大川はあちこちで恨みを買っているようで、あっさり居場所が判ったようですよ。
で、今、大川が潜んでいるマンションに来た櫂が見張っている前で、タクシーに乗って亮司がやってきちゃうのね。
美しい絵画から飛び出してきたような佇まいとか思われちゃっている亮司さん。
脇目も振らずマンションに入っていく亮司の後を、櫂は追いかけましたとさ。



亮司は、崔の置き土産の中から、大川と似た歳の綺麗な身許の引きこもり男の書類を彼に渡します。
崔は君のことが本当に好きだったんだなと告げる大川に、亮司も自分だって好きだったとか云うのね。相思相愛で羨ましいとか軽口を叩く大川だけど、さっさと申請窓口に行って切符さえ手に入れれば、その翌日にでも国境を越えられると告げる亮司に、一緒に行かないか? なんて云っちゃうのよね。やっぱり亮司さんは人気者…。
けど、当然ながら相手にしない亮司でしたが、その時櫂が飛び込んできます。
で、銃を構え合う大川と櫂なんだけど、大川は亮司の腕を掴んで盾にするのね。僕を撃つと亮司も死ぬよ? とか云っちゃって。櫂は大川を睨みつけてバチバチ。ってふたりはともかく、亮司は当然ながら櫂を止めようとします。俺の大好きだった武藤の子である君にこれ以上殺しをさせたくないとか云って。大川はどうせロクな死に方をしないから放っておけばいいと云う亮司に、判っているけどそれが出来ないと告げる櫂さん。これ以上死体を見たくないと云う亮司と、俺だってあんたの前で人を殺したくないと告げる櫂の会話に「君のその甘さはこの国の甘さそのものだ」とか云って割り込んできた大川は、突然亮司を後ろから押し、亮司が櫂に向かって倒れこむような恰好で崩れるその隙に、ベランダから逃げます。
当然櫂はその後を追い、亮司も慌てて外に出ると、大川の前にリャンが彼の行く手を遮るように立ちはだかり、銃を構えました。制止の声を上げる亮司だけど、同時に二発の銃声が響きます。
リャンがその場に崩れ落ち、大川は足を引きずるようにしてまた逃走。櫂もまたそれを追う中、亮司は急いでリャンのもとに駆け寄り、抱き起そうとしますが、彼女の腹部からは大量の血が出血していましたと。
ってか、真正面からしっかと銃を構えていたリャンより、唐突だったはずの大川のほうが銃の腕が上なのね、なんて思ったり。
息も絶え絶えのリャンは、亮司に看取られて死ねるなんてラッキーだけど、大川には絶対無理だから、きっと歯ぎしりして悔しがるわなんて云うの。何バカなことを云ってるんだと云って亮司は泣きます。櫂に何もしてやれなかったように、結局リャンにも何ひとつしてやれなかったって悔しがるんですけど、亮司は結局何かをしてやるんじゃなくて、精神的な安らぎとか心の置き所を与えるキャラみたいな扱いだよね。それに少なくとも『断鎖』の頃は亮司はリャンの世話しまくりだった気が……ってか亮司さんってば、学校をおやめになってミューズ呼ばわりされるようになってからは、めっきり奉仕されるほうの側になったよね、みたいな。
ってことはともかく、リャンは少し前に流れたニュースによって、おそらくこの国は大きく変わろうとしていると告げます。詳しい事情を説明する力は残っていないために、何を云われているのか判らない亮司は??? けど、リャンの顔色はどんどん血の気が失われていき、あなたは生きてと告げて彼女は死亡。亮司は座り込んでリャンを抱きしめたまま、いつまでも泣いていました。だって。
リャンはいつか死にそうとか思っていたけど、少し前に櫂に刺されても死ななかったから結局死なないのかなと思っていたら、やっぱ死にましたよ。ま、でも最終話に死んだんだから、最後まで頑張ったと思うべきでしょうか。


嘉瀬と一紀は辺りで突然警報に似た音が鳴り響いて、ちょいびっくり。ふたりは奥多摩の小さな村にいましたよと。
国輝塾の周辺に潜んで、田沼を闇討ちする機会をうかがっていたふたりは、塾生に気取られないために、TVやラジオはもちろんのこと、携帯電話も使わずに時を待っていたんだって。
そしたら国輝塾の門が開いて、田沼が出てきたと思ったら、辺りをぐるりと見回して大声で嘉瀬を呼びます。
気付かれていたことに気付いた嘉瀬は、一気に勝負をかけるかと銃を握りますが、田沼は丸腰で呼びかけを続けるのね。事情が変わったから休戦だって。政府が緊急事態発言を出したから、ンなことをやっている場合じゃないって云う田沼に、慌てて一紀が携帯電話を取り出して事情を調べた様子。
そこでふたりは、大井競馬場で集団自殺があって、それがきっかけになって、かつてない規模のデモ隊が自然発生して国会議事堂を取り囲み始めているということを知ります。
確かにンなことをしている場合じゃないので、姿を現した嘉瀬に、デモ隊は多国籍と日本人が混ざっていて、とにかくこれまでの対立とはまったく無関係の人間たちが自然発生して、政府への不満を真正面からぶつけだしているんだって。大井競馬場での集団自殺がネットで中継されて、それを見て、誰ともなく、このままじゃいけない、こんな社会でいいのかって云い出し、今の社会のシステムを根底からひっくり返さないと何も始まらないと云う流れになりつつあるらしいよ。
しかし今の社会がひっくり返ったらどうなるのか、先のことが具体的にはさっぱり想像できない嘉瀬さん。
田沼が云うには、警察や自衛隊や他の官公庁の中からもこの動きに賛同する者たちが現れ出して、しかもそれが増えているんだって。政府は必死に止めようとするけど、逆効果で、政治家や官僚はパニック状態なんだとか。で、あんたたちも我々と争うより、自分たちの組織を心配したほうがいいと告げる田沼に、納得した嘉瀬は一紀に宇都宮に連絡するよう指示するんだけど、本社に電話しても、他の幹部に連絡しても誰ひとり電話に出ないそうな。恐らくみんな、てんでばらばらに自分の安全を確保するためだけに動いているに違いないと読んだ嘉瀬は、取りあえず戻るよう指示します。
世の中、どうなっちまうんですかと、珍しく心細げな一紀に対し、嘉瀬も俺に聞かれたって判るかとプチ切れ状態。
皮肉な話だけど、こらから先も殺し合いをするために、今はどんなことをしても生き残らなくちゃならないと決意する嘉瀬さんでした。


前回で、血生臭いことをする気満々だったサーシャは、根岸の事務所に忍び込んだ時に、3人しか用心棒がいなかったので不思議がったのだけど、おかげですんなり入り込めて、マルイチを見つけ出すこともできました。
根岸はマルイチの刺青をさんざんいじり回してから、あとの鍵は和田にもらうとか云って消えたそうです。もう遅いと笑ったサーシャは、自分は根岸を追うが、マルイチにひとりで帰れるな? と訊ねます。頷いたマルイチはサーシャに、あんたから彫翔と亮司に、面倒をかけたと謝っておいてくれと告げて消えます。
マルイチにはもう用はないサーシャは、引き留める理由もないので、好きにすればいいと云って、自分は和田の屋敷にGo。目的のお宝が自分の手に落ちたことを知らない根岸が、それを知った時にどんな反応をするのかと考えつつ、サーシャは亮司に電話をかけて、マルイチと根岸のことを伝えます。その代わりに、大川とリャンのこと、そして今世間で起きていることを伝えた亮司は、今和田のところに行くのはやめたほうがいいと告げます。
デモ隊の要求やリーダーすらも全く判らない状態の中、和田やサーシャが考えたコントロールされた暴動とは全く質の違う事態に、まるで見えない神の手で動かされているような…と告げて黙ってしまう亮司に、本当に神の手によるものなら、この国は本当に崩れ去ってしまうかもしれないから、それを見届けるし、全部終わったら戻るから心配するなと云い、まだ祝杯も上げていなかったからなと告げてサーシャは電話を切ります。
道路はあちこち封鎖されているので、路中のバイクを拝借したサーシャが和田の屋敷についたとき、母屋にはまったく人はいなくて、庭の奥の小屋に行ったとき、向季が抜き身の刀を前にいましたと。
使用人たちには自宅待機を命じた向季は、和田剛が今朝死んだことをサーシャに告げます。全てが終わったらそうしようと決めていたらしいよ。たくさんの人を殺してきて、密約を守り通すためには血族も殺してきた和田がしてきたことを、今度は自分がやると向季は告げます。
ここに根岸が来たはずだがと訊ねるサーシャに、来たけどすべきことをしましたとか向季は云うのね。今頃鍵を渡せと云われても困るし、その鍵はサーシャに渡った後なんだからとか云って、刀の手入れをするとか云うの。血糊をそのままにしておくと、せっかくの名刀もただの鉄くずになるから……って、つまり根岸さんは向季に殺されたようです。ってヲイ。
元とは云え、でっかいヤクザ組織の会長が、和田家の跡取りだけど特に訓練をしてきたワケじゃあない一介の若造に呆気なく殺されちゃうってどうよ。
日本がどうなろうと、密約を守り続けると誓う向季に、サーシャは黙って小屋を後にしましたとさ。


サーシャが和田の屋敷を出てから市谷辺りまでくると、警官や自衛官や機動隊と、デモ隊に合流しようとする民衆が衝突していて、祭りの喧嘩状態になっていたそうです。
かつて祖国でこれと同じことが起きたと思いながら、人波に揉まれてサーシャはそれをぼんやりと眺めます。祖国の時はサーシャは遠い外国にいて、ただニュースを眺めるしかなかったけど、世界はそれを正しいこと、望ましいものと受け止めて、民衆のしていることを支持したけど、あのとき赤の広場に押し掛けた民衆は今の国に満足しているのか、あれは本当に正しかったのか…正しかったとしても、結局は彼らが望んだような方向に物事は進まず、祖国は今もくすぶり続ける民衆の不満と闘い続けているけど、この国も同じ道を歩むのだろうか――なんて暗いことを考えていた時、サーシャは自分に向けられた視線に気づきます。
そこにはキラがいて、キラも民衆や機動隊や警察官らにもみくちゃにされながらも近づいてきていて、殺意を感じながらもサーシャは同じようにキラに歩み寄っていくのね。
この状態じゃあ、いつ誰に殺られても不思議はないし、もし殺されても犯人は判らずじまいだろうなんて告げるキラに、それでわたしを殺しに? ってサーシャは笑うのね。あんたのその手にあるものを、自分たちに譲らなければ、なんていうキラに、ただの強盗かとまたサーシャは笑います。
俺はあんたが好きだけど、すみれは俺の何倍もあんたが好きで、だから俺があんたを殺したら、すみれが俺を殺すかもしれないけどと告げるキラに、それでもわたしを殺すのか? なんてサーシャは訊いたりして。ってか、普通にやればサーシャのが強いよなぁ。なんて思いつつ。
そんな中、亮司がふたりのところにやってきます。酷く場違いな涼やかな声がしたんだって…。どんだけ涼しい声なんだ、亮司さん。
しかも人波だらけのはずなのに、なんでこいつらは目的を簡単に見つけられちゃうの? なんて云う突っ込みはしてはいけません。
すみれにキラを止めてくれと云われて亮司はやってきたらしいよ。ってか、高校生くらいなら、もう自分で動かないか? って突っ込みもしてはいけません。
どっちもいい歳して、玩具の取り合いみたいな喧嘩をするなと一喝した亮司は、取りあえずサーシャを連れてこの場から逃げます。
生き残って、すべてのことが変わった後でもまだ殺したいと思うなら、その時は相手にしてやるとサーシャはキラに告げ、それぞれ避難します。
ようやく人波が引いたところまできた亮司とサーシャは、道路のあちこちに人が倒れている中、とにかく帰ることにしたようです。明日はどうなっているか判らないけど、今日は疲れたから、甘いものでも喰って、とくかく休みたいと呟く亮司さん。サーシャが買ってきた和菓子って芋羊羹らしいよ。なんか前に五條さんのインタビューで「サーシャ様は芋羊羹なんて食べないわ」みたいなことを云われたって云っていたから、それに引っかけたんだね、きっと。
無事に手に入ったお宝が、今度はキラのような野心に満ちた連中の欲を呼び覚ましたけど、それも退屈しなくて済むとか云うサーシャに、いま起きていることはなんなんだ? と亮司は訊ねます。ただの一時的な暴動なのか、それとも予期しなかった革命の始まりなのか? と訊ねる亮司に、どちらになるかはこれからの動き次第だとサーシャは答えます。それなら、あんたはどっちにしたいんだと訊ねながら、亮司はサーシャの頬についている血を指で拭うのね。こいつら、互いの顔を触り合うのが好きだな、ヲイ。
夢がなければ生きていけないと云うのなら、夢を見続ければいいし、これからもずっとなくしたものを探し続ければいいし、俺はあんたの夢の結末を見届けたいと告げる亮司に、サーシャは初めて会った時と同じ目で亮司を見つめて、今度こそ本当の革命を起こさないか、とか云うのよ……これで本編は終了です。あとは付随のようなエピローグがあるのね。
10年間?やってきて、どうやら最初に戻ったようですよ……。
どっちかって云うと、革命がどうと云うより、サーシャのお宝ゲッツ物語の感もありますし(亮司は放っておいても、お金持ちのサーシャにいろいろ貢いで貰えるからいいよね…)。ファービーの中毒者によって、日本人の若者とかがぽやんとしちゃった話はどうなったんだろう。暴動とは真逆だよね。
最後は結構やっつけの印象が強いですな。正直、ちょっと消化不良。頁が足りなかったという印象と云うか……。民衆が暴徒に走る状況も今イチ微妙ですね。サーシャの本当の目的は祖国の名誉を守るためで、それを知ったら亮司が許してくれるかどうか、とかクァンが云っていた、あれはいったいなんだったのでしょう。予想外の暴動が起こって、どっかいっちゃったってことかしらん。
ってか、この終わり方、普通に続きが書けるような終わり方です。来月から鉱物シリーズがやるらしいんだけど、それに多少でもリンクしているのか、まったく違う話になるのかは謎です、はい。
忘れたころに続編とか、番外編とか書かれても、まったく意外に思わないよ…。終わっていない感が半端ないもん


最後の巻は皆さん、あっさり死んでいったり、消息不明となったり。ワザとボカした書き方したのかな。
死んだ人:ドゥルダ、本田、根岸、リャン、パイトゥーン 他。
消息不明扱い:大川、鳩、櫂、キラ みたいな。ま、キラは大丈夫だろ、みたいな書き方されていたけどね。
すみれや蘇ですら、最後にも全然出てこなかったし……と云うか、すみれの扱いが意外に省略されちゃっていました。結局、最初から最後まで亮司とサーシャのお話だったってことなのかも。

拍手[21回]

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これから出かけなければならないので、感想は帰ってから書きます。
日付け変更線を越えそうなので、もしかしたら明日になるかも。


ただひとつ。お知らせが。








今月号が最終回だった (゜Д゜;)



拍手[0回]

なんか多分、終わりに近づいているような気がする『喪国』17話目。
ってことは、1年以上連載続いているのかー。

最初は鳩さんの動向から。
競馬場の暴動は終わったようです。政府はくどいほどに治安維持を訴え、それに貢献した組織は手柄を自慢している中、一方でようやく、世の中で何が起きてもまったく関心を示さない連中の存在を社会が危惧し始めるようになってきたそうです。無関心を通り越した、異常なほどの無気力・無関心症候群の認知と、それが特定の薬物の使用と関係あるのではないかという推理がようやく囁かれるようになってきたとのこと。
多分、ほんの偶然からこの薬の精製に成功したパイトゥーンや、それに眼をつけたサーシャや、普及に貢献したドゥルダは、早い段階からそのことに気付いていて、それを拡散したんだけど、彼らには責任はなくて、こうなったのは誰のせいでもなくて、この国のせいだと鳩は信じているそうです。
パイトゥーンやサーシャやドゥルダは、この国の連中が敢えて見ようとしなかったものが見えていたんだってさ。

で、そんなことを考えている鳩さんは、自分には明日と云う時間は必要ないから、まだ生きていかねばならないもののためにけじめをつけようと思ったようです。
だから鳩は自分の事務所のタンゴと云う若い者にパイトゥーンのことを調べさせ、彼が都内にたくさんマンションを所有していることを知り、ついでに居場所を探し当てた様子。
一方で鳩は身辺の整理をして事務所をたたみ、すべての書類を焼き払い、部屋を掃除したようです。世間はまだ暴動の後始末で忙しいけど、ドゥルダのことを調べ始めれば、自分のところにまで手が伸びるかもしれないからみたい。だからわずかでも手がかりになりそうなものが残っていないようにして、お金は若い連中のために少しだけ残し、あとは宅急便で井口のところに送ったそうです。振り込みにすると記録が残っちゃうからだって。
で、すべて片付けてから鳩はタンゴが突き止めたパイトゥーンの居場所へGo。
高級マンションの最上階にいたパイトゥーンは、最初から鳩が来ることが判っていて、銃を構えて待っていましたとさ。
パイトゥーンは誰かが自分の居場所を捜していると聞いて、それはティット家の血を引く者に違いないと思っていたそうです。そりゃ、タンゴ程度のチンピラがちょっと捜しただけで、こう簡単にパイトゥーンの居場所が判るはずがないと今更ながに気付いた鳩は、パイトゥーンが意図的に情報を流して、わざと自分をここに呼び寄せたと知ります。
けど鳩は、もともとパイトゥーンに殺されるために会いに行ったんだって。パイトゥーンも自分も裏切り者の末裔だと云う鳩に、賛同するパイトゥーンは、なんか鳩に親しみすら感じているんだって。他人とは思えないってお互いに云っているくらいですよ。でも他人ではないからこそ、このままにしておけない、2人の裏切り者がいれば、生き残るのは1人、君とわたしが出会えば殺しあうことはわかっていたというパイトゥーンに、まったくの同感と云う鳩さん。なんだかねー。
自分の死後、モーリンと井口をそっとしておいてくれと告げて、なんか妙に快諾するパイトゥーンの姿に、安心して殺されてもいいと思った鳩ですが、その直後、どうやら鳩の跡をつけてきていたタンゴが現れて、不意打ちでパイトゥーンを撃ってしまいます。

で、パイトゥーンさん、即死。

なんちゅう呆気ない……。
タンゴは鳩にパイトゥーンの居場所を探すように云われた時から、きっとその男を殺すつもりなんだって思っていたそうだよ。そうならそうと云ってくれれば、俺も手伝ったのにーとかヌカしたタンゴは、取りあえずとっとと逃げようって云うのね。そんなタンゴの背後から、今度は鳩がバン。タンゴ死亡。
おまえのせいで、俺は死に損ねたとつぶやく鳩さん。やっと長い旅が終わって、忌まわしい血から解放されると思っていたのに、自由を得たのは自分ではなくパイトゥーンだったと呆然と考えてから、鳩は無意識に部屋の外へと歩き出していきました。


一方『ミューズ』の亮司のところに、大川登場。
昔と少しも変わらない恰好でふらりと顔を出した大川に、なんか胸がいっぱいになっちゃっている亮司さん。ダメじゃん……。
で、店はアルバイトに頼んでから、大川を奥に案内して、紅茶とクッキーを用意するのね。その姿を見て、君はこういうことがとても似合うと笑う大川。学校にいたころから亮司は浮いていて、隠しきれない育ちの良さや甘さが滲み出ていたから、植村や大川は、ワルぶっているのがいつまで続くかって思っていたんだって。ただ崔は亮司のそういうところをとても気に入っていたんだって。それは崔も、根っからの悪人じゃなかったからなんだそうな。
――なんて昔話を聞いていても大川のペースなので、ぴしゃりと話を遮って「何の用だ」と訊ねる亮司さん。すると「頼みがあるんだ」って云われたから、厭だとはねつけて、さっさと帰れって云うのね。でも早く帰らせるつもりなら、まず紅茶とクッキーなんて出しちゃダメだと思うんだ、亮ちゃん……。
大川の頼みは、櫂が自分を殺しにやってくるから、海外に高飛びする切符を用意してくれってことでした。君なら“本物のパスポート”を用意できるはずだし、櫂に僕を殺させなくてすむだろう? とか云っちゃうの。おまけに君ももう僕の顔を見なくてすむ、とか云うのね。当然怒り心頭の亮ちゃんだけど、このまま放置して櫂に大川を殺させれば後で絶対に後悔することも判っているために、仕方なくパスポートを用意する約束をしたのでした。


崔の残してくれた書類の中に、前科のない綺麗な書類がいくつかあるから、大川のパスポートはすぐにでも申請できると亮司が考えた時、マルイチの世話を頼んでいた男から連絡が入って、マルイチが根岸に見つかって連れていかれたことを知ります。
根岸の目的はマルイチの命じゃなくて、彼の彫り物に隠された秘密だから、殺しはしないと思うけど、それでも秘密を知った根岸が最後に行きつく先を思い、亮司は思わず目を閉じます。
サーシャと根岸が狙っているものは同じで、あの二人がそれを折半するはずがないので、どちらか一人がそれを手に入れれば、残る一人は……なんて暗いことを考えちゃうのね。
亮ちゃんってば、もう災難。


一方、彫翔のところには、伸江から連絡が入って、こっちはリャンがいなくなったことを知らされます。
傷のほうはだいぶ良くなって、自宅療養になっていたリャンは、順調に回復していたからそれはいいんだけど、おそらく大川に復讐しに行ったに違いないと伸江は泣きます。
大川が生きていたら彼女の大切な人間のためにならないと思っているからだと告げる伸江に、亮司のためかとピンときた彫翔は、伸江に、リャンから連絡があったらどんな手を使っても引き留めてくれ、あの子まで賀代子のように失いたくないと云われ、判りましたと云って電話を切るんだけど、その直後に今度は亮司から連絡が入り、マルイチが根岸の手に落ちたようだと聞かされ、愕然。
とは云っても、自分にはどうしようもなくて、ただふたりが無事でいてくれることを願うしかないんだってさ。そりゃそうだ。
そう云えば亮司はリャンが死にかけたこと知らないのかな。知らないんだろうな。うぅむ。


根岸より先に秘密の暗号を手に入れたサーシャは、外資系銀行の地下3階で、客はおろか社員ですら立ち入ることが出来ない場所にいました。ここに入ることが出来るのは、幹部の中でも選ばれたものだけだそうな。
で、その外資系の銀行の行員らしき白人の男に、和田から受け取ったものと長谷川から受け取ったもの、そんでもってマルイチから手に入れた予備キーを確認させたサーシャは、ドバイにある銀行の保管庫のひとつのドアを開かせることに成功したのね。そこには和田達が金をゴールドに変えて保管していたんだけど、その名義をすぐに変更させます。時差があるから少し時間がかかるので、手続きが完了したら連絡が入ることになりました。
これでひとつ目的が達成されたけど、手にした金で失ったものをどれだけ買い戻せるだろうかと考えて、結局は何も戻せないことを悟っちゃいます。失ったものはすべて、もうこの世から消えてなくなっていて、残っているものなどひとつもないからだって。何も残っていないのだから、いくら金があっても買い戻すことは不可能だけど、ただそれを認めてしまいたくなかっただけなんだってさ。まだまだ根暗なサーシャさん。

と思ったら。
銀行を出たその足で銀座のデパートに行って、老舗の和菓子と両手いっぱいのオレンジ色の薔薇の花束を購入。また目立つ真似を……。
それを抱えてタクシーに乗ろうとしたとき、尾行に気付いたので、すぐさま踵を返して近くの喫茶店に入ると、サーシャはクァンを呼びつけます。
仕事が終わった祝いをしようと思ったけど、そうはいかなくなったから、その花と菓子を亮司に届けてくれと告げるサーシャ。和菓子は遊び心なんだって。ってか、アニバーサリーとかが好きな男っているけどさぁ……サーシャにとって亮ちゃんの役割って、やっぱり……もごもご。ってことはともかく。
どうやら以前からNEGISHIプランニングの連中がサーシャの周りをウロついていたみたいよ。で、久々に血なまぐさいことをする気満々のサーシャさん。そんな気分なんだって。
で、マルイチが根岸に捕らわれたことを知り、舌打ちしつつ、けど根岸には、何もかももう終わったから、夢を追いかけるのは諦めろと忠告してやるんだってさ。自分の夢は追いかけるくせに、他人には諦めろと告げる厭なヤツです。
ついでにサーシャは、大井競馬場で粘っている暴徒がアスランの信者だと云うことを知り、これには結構驚きます。なんかこのアスランさん達が、結構予測不能みたいなので、最後にどんでん返しがくるのかもねー。


そんなこんなで今月終了。本当に、あと少しで終わりそうかな? みたいな。知らんけど。

拍手[16回]

なんか、終わりに向かっているような気がしないでもない『喪国』16話目。
でも、あと数回は続きそうな気も。


競馬場襲撃によって、暴徒の鎮圧に貢献した自衛隊の活躍によって、憲法の全面的な見直しと改正が考えられ始めたんだって。選挙も近いことから、政治家たちの反応も早いようで、次の国会では具体的な改正案が論じられることは間違いない様子だそうな。
和平と協調を重んじる政治から、強さを求める政治へとなったのは、これまでの政治に対する不満が噴出したからだそうです。
とは云っても、大井競馬場だけはまだ暴徒の立てこもりが続いているそうです。とは云っても、時間の問題だろうし、マスコミの感心も世間の感心も他に移っている状態。
そんな状況を和田剛はお喜びの様子です。
わずかな多国籍の血を流すことで、健全な革命の成功=確かに政治は大きく変わりそうで、憲法が改正され、正式に日本に軍が発足すれば、政治や外交に影響を与えると云うことらしいですが、向季には今ひとつピンと来てない状況です。それにこの状況は、いい影響ばかりではなくて、悪い影響だって出るはずだからとのこと。
それはともかくとして、和田剛は向季に、次はおまえの番だと告げ、おまえには重要な使命があるとも告げます。
それは信頼できる後継者を見つけることだそうな。我々の血の結束にふさわしい人物を。とのこと。
長谷川は血のつながりのない他人を選び、正田の後継者である鄭夫人は結局、我々の意にそぐわない後継者=uk-Xを選んでしまった。鄭の後継者が真実の一部しか知らないままなら放っておけばいいが、彼女の後継者が正当な報酬以外のものを欲しがったり知りたがったりすれば処分しちゃえ、とのことです。
そのために田沼が向季の傍にいることを和田は許したそうですよ。ふーん。
にっこり笑って了承する向季ですが、彼にはひとつ疑問があって、なぜ大井だけがいつまでも制圧されないで立てこもり続行中なのかと云うこと。しかしそれは和田剛もよく判っていないようで、他のふたつの競馬場は自衛隊が制圧したけど、大井は警察のメンツのために自衛隊が早々に引き揚げたことだけは判っているんだが、とのこと。しかし警察にしたところで、やろうと思えばすぐに鎮圧できるのに、なぜしないのかは謎だそうな。
で、それはさておき、鄭夫人の後継者にuk-Xが選ばれたこと、彼女が本来受け取るはずだった謝礼をuk-Xが受け取ることに対して、和田剛は何の異論もないそうな。鄭夫人は途中までは本当によく働いてくれたけど、死を覚悟した彼女が選んだのは、我々のためになる人間ではなくて、敵になるであろう人間だったのは、やっぱり血の壁を越えられなかったからなんだって。サーシャも同じで、あの男は自分たちと歩みをともにする気などまったくないそうな。あの男は自分の夢のためだけに生きているからだそうな。
そんでもって長谷川も新しい後継者が決まったし、パイトゥーンもそろそろ事業に専念しようと考えているらしいです。和田剛も今度のことが落ち着いたら、一線引いて向季にすべてをゆだねるつもりだそうな。
我々の敵は我々に肉薄するものでなければならないが、決して我々を超えてHあならない。どんな時も我々の社会をよくするための捨て石でなければならない。そうでなければ、今までの努力が無駄になると告げる和田に、ずいぶん身勝手で傲慢な理屈だと向季は思ったけど、すべてはこの国のためであり、反感を持つことはないそうです。


一方櫂は俊太のいる九州にGo。
めぐみと夢人が留守の間に、ちゃっちゃと俊太を始末する手はずだそうな。
櫂はアスランからの使いを名乗って俊太を呼び出すと、すべてめぐみが仕組んだ方法で俊太を殺す手はずを整えていました。それならいっそ、めぐみが自分の手で最後の仕上げもすればいいのにと思いますが、それをしない汚さとずるさに対して櫂は笑い、やっぱり狂った血を生むのは狂った血でしかなくて、俊太がくるっているとしたら、それはめぐみが狂っているからだと考えます。
やってきた俊太は興奮しまくりで、自分を見張っていためぐみの悪口をまくしたて「殺してやりたい」なんて云っちゃうものだから、親子で殺したがっているなんて、よく似た親子だと櫂は笑います。怖い親子だねぇ。
で、俊太の口から、櫂は大井競馬場に立てこもっているのが暴徒だけじゃなくて、アスランの信者もいることを聞きます。アスランの信者のほとんどは未成年のうえに、著名人や政治家や資産家の子弟が多いから、警察も鎮圧することに対して慎重にならざるを得ないはずだということ櫂は悟ります。どうでもいいけど、なんか櫂って、一気に賢くなった気がする…。
で、そのことを聞き出した後で櫂は俊太を抹殺。地面に倒れた俊太を見つめながら、誰が何のために今ごろアスランを動かしているのかと考えますが、彼にとってはどうでもいいことでもあったので、それよりも俊太を殺したら次に殺すことにしていた大川を追うことに対し思考を切り替えました。


彫翔は根岸がマルイチを捜していることを知って、どこか安全な場所に移動させることにします。
で、案の定、亮司を頼っちゃうのね。
亮司は知り合いの前衛芸術家が持っている田町の古いマンションを貸してもらい、そこにマルイチを隠します。
で、亮司さんはそれをいいことに、マルイチの腹に彫られた刺青を何枚も撮っちゃったりして。で、マルイチの腹にある刺青に隠されていたいろいろな暗号と云うか数字に似た形をひとつずつ拾っていきましたとさ。
疲れちゃったとムクれるマルイチを宥めるために、朝まで飲み歩き、疲れた亮司が部屋に戻ると、そこにはサーシャがベッドでごろごろ。人のベッドを占領して「何か見つかったか?」なんてことを聞くサーシャに、呆れながらも亮司はマルイチの馬頭明王に隠されていた数字を書き記したメモをサーシャに渡します。この暗号は符牒の一部だそうな。
根岸もこの数字を見つけたがっているが、彼がマルイチを見つける前に事は全部終わっているんだろうなと訊ねる亮司に、その予定だと告げるサーシャ。だったらさっさとしろと告げながらも、亮司はサーシャに、この謝礼によって本当に祖国を取り戻せると思っているのかと訊ねる亮司に、まさかと告げるサーシャ。戻ってこないから諦める…そんな簡単なことが出来ないだけで、諦めるより追い続けるほうがずっとラクだから。諦めてしまったら、明日からどうしていいのか判らなくなると告げるサーシャに、珍しく弱気だなと亮司はぱちくり。
それはともかく、ここで朝食の準備をする亮司。おまいら、本当に夫婦かと。
しかも亮司はサーシャに対する厭味のつもりで味噌汁と納豆を準備。ヲイw
しかし文句を云わずに喰うサーシャ。あっきーが嫌いな納豆も、サーシャは普通に喰えるのね…。
ってか、日本語も上手いし箸使いも上手で、日本の食や文化や芸術に関する知識も豊富なのに、その気にならないのは、この国に彼の心をつかむものが何ひとつないからなのかと亮司は考えたり。
ところでサーシャも大井競馬場のことは気になっているようで、予想外のことが起こると、ほとんどの場合対処を間違えるんだって。
云っていることは判るけど、それが判っているのは神様だけだし、時間がかかっても大井はおsのうち制圧されるんだから、そうなれば何が起きていたのかはっきりするだろうと告げる亮司に、サーシャは頷きながらも、自分の故国のことをポツリ。あのとき、あれだけの急激な変化を予測できた人間はだれ一人いなかった。一人でもいたら、何か手が打てたかもしれないのに、まったく誰も予測できなかった。現実の変化が速すぎて、思考がそれについていけなかったんだろうと告げます。
国が崩壊するときなんて、本来そういうものだし、予測できていたら崩壊はしないと告げる亮司に、頷いたサーシャは、革命を管理するなんて実際は不可能で、和田も長谷川も自分と同じように叶わぬ夢を見ているかもしれないとのことです。
なんか珍しく気の弱いサーシャさんです。ってか、そんな落ち込み話まで亮司に話すのね……。


で、最後に今回散々でてきた大井競馬場。
暴徒のひとりのカツヤは、アスランの信者らしき男と話します。
アスランの信者たちはこれからネットで声明を出すんだって。自分たちは何者で、なぜここに集まったのかを流すそうな。
大井にいるアスラン信者たちは、みんなエリスのように消えてなくなる予定だそうな。伝説によって教団の教えが残り、それによってまた新しい仲間が集まってくる。施設や人は残らなくてもアスランは残る。それが自分たちの目的なんだと告げて今月は終わり。ってことは、焼身自殺するのかしらん? いいけどね、別に。


今月のポイントはサーシャに納豆とみそ汁を喰わせる亮司でしょうか。
なんか、夫婦げんかした妻が、旦那への厭がらせに嫌いなものを用意したみたいな感じですな。
っつーか、サーシャって普通に納豆喰うのね……じゃあおにぎりも食べるだろうなぁ…。

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飲みすぎてヘロヘロになっているので、ちょっと文章がおかしいかもしれません…(知らんわ)


ってことで、喪国15回目。
どうでもいいですが、サーシャはいつまで「謎の男」なのでしょう。
もう全然謎の男じゃなくなっている気が……。


今月はしょっぱなっから鳩が登場。ドゥルダが宿泊しているホテルを突き止めた鳩ですが、時すでに遅し。
ホテルの前にはパトカーが3台停まり、警官や野次馬も集まっていました。
心中があったからなんだとか。
まさか…と思う鳩の腕を掴む人物がいて、見ればそこにはすみれさん。
すみれは鳩を誘ってその場から離れます。叩けば誇りが出る身なんでしょう? と云うことで。
で、ふたりは新宿診療所の屋上に行きます。蘇はいまは忙しいから、見つかる心配はないということで。
すっかり大人びて、風格すら感じられるすみれに、同じように祖国のない身で流れてたどり着いたのに、自分やドゥルダはなぜこんなふうに生きられなかったのだろうと考える鳩。そんな鳩に、すみれはドゥルダが本田と云う男と死んだことを告げます。
簡単に云えば痴情のもつれで死んだドゥルダだけど、本田が残した遺書には、自分が暴動の首謀者であり、人気占い師のドゥルダを利用して計画を立てたってことが書いてあったらしいです。そんなこと、誰も信じるものかと告げる鳩に、そうだろうけど、でも警察は助かるよと云うすみれ。本田はそうすることで、ドゥルダが巻き込んだ大勢を助けようとしたんだとも。
鳩曰く、暴動の黒幕はドゥルダじゃなくて、他の組織。しかも国の協力を得られるような…と口にしかけますが、それをすみれは止めます。
管理された革命のことをすみれは知っていて、その管理された革命を企てた連中が、いまも大勢いて、その連中から見れば多国籍なんて使い捨ての駒なんだろう…だからその駒が、予定外の動きをしたり、裏をかくことなんて絶対にないと思っているらしいけど…とつぶやくすみれに、何のことだ? と鳩。なんかすみれはいつの間にか情報を収集していて、鳩はさっぱりな状態です。
そこで思い出したようにすみれは、モーリンに会った? 彼女は好きな人がいるんだよ? とか云うけど、鳩はとぼけて知らん顔。井口たちのところに帰ったほうがいいと告げるすみれに、鳩はきっぱり無理だと告げ、それに自分にはやり残したことがあると云います。ドゥルダに文句のひとつも云うことができなくなってしまったから、だったらまだ生きているヤツになんとしても云ってやりたいことがある。それをしてからでないと、自分は次の一歩を踏み出せないと告げます。
ってか、自分と同じ裏切り者の血を引くパイトゥーンに云ってやりたいことがあるそうな。


一方櫂は、釜崎の残された最後の依頼を果たすために、古山俊太と云う高校生を殺すことにします。ってか、俊太って高校生になっていたんだ……ってことはすみれもじゃん。いつの間に。
俊太の実母のめぐみが真の依頼人。釜崎が死んでしまったので、直接めぐみに連絡を取った櫂は、そこで一応確認を取ります。
依頼を白紙にしたいなら、そう云ってくれれば金は返すんだって。
でもめぐみは、その必要はないと即答。櫂のことも釜崎から聞いているけど、自分でもネットで調べたから、あなたなら確実だわ…なんて云ったりして。
ネットで検索できちゃう殺し屋ってどんなんだ…ってことはともかく、めぐみが俊太を殺そうとしている理由は、変な欲を持つようになったからだとか。金持ちになりたいだの、長谷川製薬の跡取りになるのは自分だとか。それは全部、アスラン教会のせいだと悔しそうに告げ、あの教団のせいで壊れちゃった俊太は、ゴミを捨てるみたいに父親に捨てられた結果、今の彼の頭の中にあるのは父親への復讐だけなんだとか。
で、めぐみと彼女の今の夫を支えているのは長谷川からのお金なんだって。だから息子の俊太にバカなことをされたら困るそうなのねん。つまり息子よりも、暮らしを選んだのかと告げる櫂に、めぐみは他にも理由があると云います。
このままだと俊太は、いずれきっと、あなたみたいになる。殺すことに抵抗がなくなり、理由がなくても誰かを殺すようになるだろうと。あなたのようになるまでには時間はかからない。それを見るのが耐えられないから、俊太を殺して欲しいと告げるめぐみに、何の感慨もなく櫂は理解します。狂った血や悪い血は、どこかで断ち切らないといけないから、それを生み出した自分が消すと告げるめぐみに、この女は大川に似ていると櫂は思います。
狂った血や悪い血はどこかで断ち切らないといけないということは、つまり自分と大川のことを言っているようにも聞こえた櫂は、自分たちはどちらも狂った悪い血を持って生まれた同士なのだから、お互いに断ち切りあうならそれも悪くないと考えます。


続いてホテルに宿泊しているパイトゥーン。
なぜこの国に管理された革命が必要なのかを真剣に考えなかったパイトゥーンの話に移行。
それはこの国が遠い異国であり、自分の祖国には何の関係もないからだそうな。
真の民主主義とは程遠く、貧富の差は激しく、性風俗業が国の重要産業のひとつ…等々、しかし観光イメージの低下を恐れる政府はそれを無視して、華やかで豊かなイメージを作り上げるのに必死と云った、嘘で塗り固められた祖国がパイトゥーンは大嫌いなんだって。
だから王室側近の名門軍人の家柄を嫌い、一族が背負った日本人との密約について聞かされていたこともあって、自然と日本とのビジネスに没頭していったそうです。
金儲けは熱中している間は厭なことを忘れられるそうで、10年以上も前に知り合ったらしいサーシャは、自分とは正反対だそうな。金儲けをしている間はすべてを忘れられるパイトゥーンと、何をしているときも決して祖国を忘れられないサーシャ。祖国を忌み嫌いながら離れることが出来ないパイトゥーンと、抹消された祖国へ絶大な愛と信頼を注ぐサーシャ。なんだって。共通している部分がひとつもない2人が一緒にビジネスをするようになったきっかけは「3人の日本人とタイの密約」をサーシャが嗅ぎつけたからなんだそうな。
密約によって生きている莫大な資金は、3人の日本人とタイ人によって受け継がれているけど、決定権は日本人にあるから、タイはすぐ近くにある莫大な資金に指一本触れられずにいるそうな。


その日パイトゥーンはお気に入りのギャラリーのオーナーと、ホテルのスゥイートでお約束。
亮司がサーシャの息のかかった人間だってことは、普通に判っているっぽいです。
それでも亮司の審美眼には敬服するものがあるんだそうな。
やってきた亮司はパイトゥーンに江戸中期から後期の有田焼の皿を渡します。上品な中にも力強さを感じる一品で、パイトゥーンのコレクションには日本のものは少ないのだけれども、亮司がいいというならいいに違いないと信じているんだって…。
亮司はそれを売りに来たわけではなくて、モーリンに翡翠の腕輪を渡してあげたお礼に持ってきたようです。
モーリンがティット家の子孫に恋をしていることをパイトゥーンに話す亮司ですが、優しい顔と声であっさりと報われない恋だということも云っちゃうのね。
彼女は無垢だけど、男はすっかり汚れているから何をしても救われない。でも彼女はまだ子供だから、愛で男が救えるかもしれないという夢を見ていて、男のほうも恋や愛というものではないけど、娘のように大切に思っているから、彼女が翡翠の腕輪を持つことには異論もないでしょうと告げる亮司に、なぜか良いことをしたと思えるパイトゥーンさん。
そして改めて聞いたことが「サーシャは元気か?」だそうな。
亮司いわく元気らしいサーシャの目的は、9割は達成されたも同じそうです。それでパイトゥーンは、夢物語のようなお宝の話について、いろいろと語り始めます。
今までタイ政府やアメリカ政府が、日本人3人が持ち出した莫大な資金をピンハネできなかったのは、どこかの誰かが抜け駆けしそうな気配を見せたら、資金のことを中国に漏らすと云う取り決めがあったからだそうです。もともとあれは、中国人の犠牲の上でなりたった資金なので、それを知れば中国は返還を求めてくること。それを拒否することは無理だということ。来るべき時がきて、必要な人間の合意があれば金は動かせるから、それを待つほうがいいということで、みんな60年以上も待っていたそうなのね。
現在資金は、ほぼ3か所に分けて保管されているそうです。それによって「タイの協力者」は昔ほど重要ではなくなった……。
とか語っている最中、このミューズをサーシャから奪えないものかと考えるパイトゥーン(おまえもか)。
この男も亮司に告解したいそうな。亮司は秘密を打ち明けるにはもってこいの相手らしいよ。なんか知らんが、亮司さんは本当にモテモテ。

パイトゥーンが思うに、サーシャは和田と長谷川の合意は取り付けてあるはずだが、正田の後継者の合意は取り付けられなかったようです。死んだ宇都宮の会長ね。
けど、符号があれば何とかなるかもしれないそうな。で、サーシャは符号を手に入れたのか? と訊ねるパイトゥーンに、亮司は判りませんとあっさり。嘘を云っているのかどうか、その表情からは読み取れないというか、亮司には誰の手に金が渡ってもどうでもよいみたいだと考えるパイトゥーン。
亮司曰く、サーシャは金が欲しいんじゃなくて、金があれば失った何かを買い戻せるかもしれないと思っていて、それはモーリンの見ている夢よりもずっと始末が悪い。けどそれでサーシャの魂が安らぐなら、それでいいとも思っているそうですよ。死んだ人間を生き返らせるのと同じくらい不可能なことなのに、バカな話でしょう? と告げる亮司に、パイトゥーンは笑いたくなりましたとさ。
あの男には、夢から覚める気などなくて、ずっとかなわない夢を見続ける気だろう。そのためには、この国が壊れても構わないんだろうと告げるパイトゥーンの台詞で終了。


なんか近頃では、サーシャより亮司のほうが達観した大人に感じるのは気のせいでしょうか。
そうですか、気のせいですか……。

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